漢方について

みなさんは、「漢方」について、どのようなイメージをもたられていますでしょうか。

「中国の伝統的な医学のことで、漢方薬は、今も全部中国から輸入したものなんでしょ…」とか。

実は、多くの方が誤解されているのですが、漢方というのは、日本のもの。

確かにその起源は中国からなのですが、7 世紀頃、中国の髄や唐の時代に、その時代の中国の伝統医学がはじめて日本に伝わって、その後、日本人の体質や環境にあわせて独自に発展したものなんです。

現在では、中国の伝統医学も近代的に進化し、「中医学(ちゅういがく)」として、西洋医学とは異なる特徴とともに全世界で評価が高まっている古くて新しい医学とも言えます。

一方、日本の「漢方」は、日本人の体質や生活環境、気候などを考慮し、中医学の考え方をベースにしながら、お薬という範囲では、より日本人に向いたものになっています。その成分である生薬の一部は中国からの輸入もありますが、日本で栽培された植物性の生薬が多く含まれています。

では、その漢方/中医学の考え方を少しお話ししましょう!

漢方/中医学が、西洋医学と異なる特徴を持っているのですが、その根本は、下記の三つの思想を柱としています。

  1. バランス医学:整体観(せいたいかん)
  2. オーダーメイド医療:弁証論治(べんしょうろんち)
  3. 予防医学(未病先防(みびょうせんぽう)
バランス医学:整体観(せいたいかん)

漢方/中医学の大原則として、「自然とのバランス、人体のバランス」が挙げられます。

つまり人体のバランスは、自然のバランスと同じ構造であり、人の健康は、自然と調和し関連し合うことで構成されたある意味、小宇宙として考えることが出来るというものです。

具体的には、気候や環境からの影響、生活習慣からの影響、精神状態による影響を強く反映し、ヒトの健康をバランスとして考えています。

  • 気候・環境では、暑い(夏)、乾燥する(秋)、寒い(冬)、風が強い(春)などの影響を
  • 生活習慣では、眠り、住環境、食事、運動、喫煙などからの影響を
  • 精神状態では、ストレスからの影響を

それぞれ総合的に考えた健康になるために、バランスを図ることが基本となっています。

運動不足や偏った食事、冷え性だったり、ストレス過多な仕事だったり… 漢方/中医学では、そのような状態からバランスを考えた健康になるためのアドバイスやお薬のご提案をする医学と言えます。

オーダーメイド医療:弁証論治(べんしょうろんち)

一般的に西洋医学では、特定の箇所が痛い、違和感がある、特定の症状が起こるなどに対して、対処する対処療法が基本となっていますが、漢方/中医学では、基本その患者さんの体質や過去から現在に至るまでの症状の変化や病歴、生活習慣や精神状態などを勘案し、その人の治療法について適切なものを選択しご提案する方法を摂ります。

これを一人一人の「証(しょう)」と言いますが、つまりは、そのヒトの証にあった、それぞれのオーダーメイドの医療を実践することを基本としています。

予防医学:未病先防(みびょうせんぽう)

健康な状態と病気の状態の間には、「未病(みびょう)」という状態が存在しています。

例えば、疲れやすい、食欲がない、午後になると眠気が襲う、寝つきが悪い、風邪気味なことが多い、目がかすむことがある、肩こりや腰痛になることが多い、など。

これらは、皆さんが生活の中で、病気の症状として認識することもなく、病院に行くほどではないと、我慢している状態かもしれません。

しかし漢方/中医学、西洋医学関係無く、これらの症状が、実は、怖い病気につながっている可能性もあり、ここに焦点を当てた症状の改善が重要だと考えられています。

例えば、最近耳にする「健康寿命」。平均寿命と健康寿命の間には、日本人の場合、およそ10年という期間があります。寝たきりだったりすことで、いわゆるネンネンコロリの状態は、本人だけではなく、周りの家族にも多大な精神的、肉体的、経済的な負担を強い、ひいては国の保険制度にも大きな影響を及ぼしていることは日本全体の課題として挙げらえており、ピンピンコロリを目標とすべきだと考えれています。

健康寿命を長くすることは、この未病を管理することであり、ストレス、睡眠不全、食、運動不足からくる未病を改善することで、健康な状態に戻し、健康をキープすることにつながります。

高崎漢方薬局でも、この漢方/中医学の原則に沿い、お客さま、患者さまの状況を把握し、その証(しょう)に応じた生活習慣の改善のご提案、食養生のご提案、運動のご提案と、必要に応じたお薬のご提案を行います。

私達は、漢方/中医学によって、みなさまの健康を長く持続させ、健康寿命を延ばすべく、日々新しい知見を得るため、研究会や講演会などを開催しています。

このホームページ内にも、皆様の健康のお役に立てる情報をアップしてまいりますので、よろしくお願い致します。