季節の移り変わりは身体や精神活動にも影響します。夏から秋、冬にかけて、中医学では自然界のエネルギーが陽から陰に移り変わっていくと考えます。(陽は活動的な状態、陰は静かな状態のイメージです。)陽気は無くなるわけでなく、陰の内側に隠れてお休みし、春頃になると出てきます。このとき身体でも同じような現象が起こり、活動的な状態がやや静かになります。そのため秋頃は何となく気力体力が落ちていると感じるかもしれません。冷えや血行不良になりやすく、下痢、痛み、しびれ、なんとなく眠い、やる気が起きない状態となりやすいです。元々身体の陽気(エネルギー)が不足している方はその傾向が強く出やすくなります。普段から陰(身体の体液)が不足している方は、陽気がうまく隠れられず、ほてり、眠りが浅くなる、カッカしやすい、寝汗をかく、血圧上昇などの症状が出やすくなります。陰陽はホルモンバランスとも関連しており、更年期などで女性ホルモン、男性ホルモンのバランスが乱れる時も、陰陽の症状から診ていくことが多いです。食生活から陰陽を補うことは少し難しいので、症状があれば漢方薬で身体の調和をとりましょう。
今年は例年よりも温かいですが、冷えてきたら冷たい飲み物を避け、身体を温めるなど、自然(周りの環境)に合わせて対策し、健康を守りましょう。
(2023.11 ちいきしんぶん掲載記事)