ちいきしんぶん掲載記事

痰湿お化け 第202話

夏の風物詩のひとつ、怪談。漢方にも、お化けのような邪気があります。水の病理産物である痰湿(たんしつ)です。痰は形が有るときと無いときがあり症状も多様なので、古来「怪病(原因のよくわからない病気)有痰」ともいわれています。

 

水は重く、水を動かす気力がないと停滞してしまいます。停滞し初めは、何となく体が重い、胃腸がおかしい、頭がぼーっとする様な症状が現れますが、これならまだ「湿」程度。温かい生姜汁など飲んで休めば回復する事が多いです。

しかし停滞状態が続き「痰」になると、なんと体中を移動するようになります。頭部では不眠・めまい・首肩の重さ、肺では痰や咳、胃腸では食欲不振や吐気、肝胆の経絡では抑鬱状態や口苦、腎経ではむくみ等々。以前「最近肩に誰かに乗っかられているようだ」と表現された方もいました。体だけでなく精神活動の邪魔もするので、悪夢を見たり決断力が鈍ったりすることも。病院の検査にも現れにくく、不調があるのに異常なしとみられがちな病理です。現代では自律神経症状と分類されることも多いかもしれません。

痰湿が潜んでいるか、簡単なチェック方法があります。舌をみてください。食後でも無いのに苔がべったり分厚くついていたら要注意。痰湿退治が必要かもしれません。とっても苦い漢方薬をお試しになってはいかがでしょうか。