ちいきしんぶん掲載記事

夏バテ予防の漢方薬

今年の夏も厳しい暑さとのことです。昔の暑さとは違い、冷房をつけなくては危険と思われる日も。熱中症や脱水症状は突然気を失う事もありますので、意識して水分補給と室温の調整をしましょう。

体に熱がこもった感じや、不眠、動悸や焦燥感などの症状がある場合は、白虎湯や酸棗仁湯など、清熱作用のある漢方を使います。スイカは天然の白虎湯とも呼ばれており、暑い日におすすめです。さらにこの時期は汗の量が増えます。漢方では汗をかくと水分(陰)だけでなくエネルギー(気)を失うと考えます。汗をかくとぐったりと疲れる感じがするのは、エネルギーも出て行ってしまうからです。また、夏は冷たいものを食べたり飲んだりする事が増え、胃腸も弱りやすく、エネルギーが不足しがちになります。こうした状態は気陰両虚といい、「生脈散」がよく使われます。人参で元気を補い、麦門冬で陰を補い、五味子で収斂させて汗が出過ぎるのを抑える。生薬3種類のシンプルな処方で即効性があり、この季節にぴったりです。登山や屋外でのスポーツ、外出時の服用は特におすすめです。

また、暑さ対策は重要ですが、冷房のかけ過ぎや胃腸の冷えにもご注意を。室内と屋外との寒暖差で、自律神経が乱れたり、冷え症や頭痛、胃腸の風邪の症状のご相談も多いです。暑さにも冷えにも注意して、健康にお過ごしください。

(2023.7 ちいきしんぶん掲載記事)